赤焼病

病原体:ピシウム菌

Print page

高温と多湿の条件下のみで発生する。特に夜温が高い熱帯夜(25℃以上)になる時は要注意である。発生の兆候(黄化、灰色、赤褐色の小パッチ)はあるが見落としやすく、急激に甚発生となってしまう。特に黄化スポット状の場合はダラースポットと間違えやすい。

【発生芝種】ベントグラス、スズメノカタビラ
【別名】綿腐病、ピシウムレッドブライト(Pythium red blight)、ピシウムブライト(Pythium blight)
赤焼病

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

赤焼病

 

発生生態

高温と多湿の条件下のみで発生する。特に夜温が高い熱帯夜(25℃以上)になる時は要注意である。発生の兆候(黄化、灰色、赤褐色の小パッチ)はあるが見 落としやすく、急激に甚発生となってしまう。特に黄化スポット状の場合はダラースポットと間違えやすい。近年、土グリーンからサンドグリーンになり、肥料 を少なくした管理方法によって発生は少なくなった。しかし、一旦発生すると胞子のうから出てくる無数の遊走子が水中で泳ぎ、茎葉部を這って広がるので 1~2日にしてグリーンを全滅させる。

 

予防対策

日ごろ透水性を良くしておき、夏場に停滞水を作らないことである。ベントグリーンでは無風で寝苦しい夜が2~3日続き、激しい降雨があった場合は突発の最適条件であるので至急予防散布した方が安全である。夜間、送風機の利用も予防効果が高い。

 

治療対策

本病原菌はどちらかといえば地上部を這って広がる茎葉病害であるので即効性のPA殺菌剤が有効で、少水量散布が効果的となる。ただし連続使用すると耐性菌 が出やすいので他剤(亜りん酸剤、QiI剤など)とのローテーション散布を心がけること。大発生させてから防除してもその発生部分は芽数が減った状態で夏 を越すことになる。米国では茎葉を侵すピシウム病(赤焼病)と根腐れを起こす他のピシウム病とに分け、使用する薬剤がそれぞれ別々に推奨されている。

 

Envuの推薦防除方法

各種予防剤による発生前散布による菌密度低減、発生時にはPA剤を散布します。土壌の透水度性を上げ、風通しを良くするなど環境要因の改善、潅水量を多くしすぎないなどの管理手法改善も有効です。

 

参考写真

赤焼病 9-1
赤焼病のピシウム菌は生育が早く、菌そうには大きな模様がみられる 

 

赤焼病 9-2
地際部葉鞘に形成された赤焼病菌の遊走子のう. ここから出てくる多数の遊走子は水中を泳ぎ、隣の芝にすばやく到達できるので発病は急激となる(ベントグリーン 8月)

 

赤焼病 9-3
遊走子のうは根部表面の細胞内でも形成される(矢印は菌糸ベントグリーン 8月) 

 

赤焼病 9-4
感染後期になると根部組織内に多数の卵胞子ができ、悪環境に耐え、越冬し、次回の感染機会を待つ(ベントグリーン 8月) 

 

赤焼病 9-5
甚発生の赤焼病. 水が溜まりやすいグリーン周辺や水ミチ、排水不良ヶ所に現れる(ベントグリーン 8月) 

 

赤焼病 9-6
感染拡大中の赤焼病症状は暗褐色で、その周囲は黄色味を帯びる(ベントグリーン 8月)

おすすめの製品

殺菌剤

プロテクメート®WDG

顆粒水和剤

予防散布を繰り返すことにより、藻類、炭疽病に高い効果。ピシウム病に対しても抑制効果があります。

製品を見る
殺菌剤

ローバー®フロアブル

フロアブル剤

新規作用性を有するベンズアミド系のフルオピコリドを有効成分とする殺菌剤です。

製品を見る
殺菌剤

シグネチャー®WDG

顆粒水和剤

ストレスガード製剤技術を導入したピシウム病予防剤です。他の殺菌剤と組合せることで夏の様々な病害に対処します。

製品を見る

その他の病害・害虫・雑草を探す

コウライシバ黒点葉枯症

その他の伝染性病害

赤褐色葉腐病(褐色葉腐病)、イエロータフト(Yellow tuft、黄化萎縮病、ダウニーミルデュー =...

表示する
白葉腐病(ホワイトパッチ)

白葉腐病(ホワイトパッチ)

肥料不足の夏場のベントグリーンに発生し、気温が低下してくると自然消滅する。

表示する
疑似葉腐病(イエローパッチ)

疑似葉腐病(イエローパッチ)

30~50cm大のパッチ型とリング型がある。寒冷地では黄色の(イエローパッチ)、温暖地では褐色の(ウィンターブラウンパッ...

表示する
黄斑症(イエロースポット)

黄斑症(イエロースポット)

イエロースポットはベントグラスの茎葉部全体が均一な黄~黄金色であり、葉が太くなったりネジレたりせず、また異常分けつ(叢生...

表示する
象の足跡

疑似葉腐病(象の足跡)

ラフやバンカー周りなど草丈の高い、刈り込みの少ない場所に発生しやすい。20~50cm前後のパッチやリング状になり、縁は赤...

表示する
ゾイシアデクライン(日本芝立枯病)

ゾイシアデクライン(日本芝立枯病)

この病気は毎年同じ場所に発生する。元来コウライグリーンの病気であったが、近年フェアウェイ、ラフ、ティの重要病害となった。

表示する
藻類

藻類

グリーンで問題となる土壌藻類は主として藍藻類のフォルミディウムとノストック、緑藻類のクレブソルミディウムの3種である。

表示する
いもち病

いもち病

ライグラス、ベントグラスなどの寒地型芝に8月ごろから高温、日照不足、多湿(朝露がつく)条件下で感染が始まる。

表示する
ブラウンリングパッチ

ブラウンリングパッチ

円形または不定形の黄褐色~褐色のパッチで、リング(10~50cm)になることが多い。

表示する
フェアリーリング病

フェアリーリング病

基本的な症状としては芝生が大きなリング状または帯状に濃緑色になったり、褐変枯死したりする。

表示する
フザリウム病

フザリウム病

主として秋期から感染が始まる病気で、晩秋から大小様々な褐色~赤褐色のパッチが出現する。

表示する
疑似葉腐病(ラージパッチ)

葉腐病(ラージパッチ)

ラージパッチの発生は気温と降雨が最大の原因である(冷夏、多雨、長雨、温かい早春や晩秋)。

表示する
混合感染

混合感染

混合感染とは2種類またはそれ以上の異なった病原体が同一の芝個体に感染している状態をいう。

表示する
蘚類(コケ類)

蘚類(コケ類)

グリーンには冬期も含めて年中発生しているが、早春期になると増殖が盛んになる。

表示する
ネクロティックリングスポット病

ネクロスティックリングスポット病

ノシバやコウライシバに感染すると春期に生育が遅れてしずみ症状となる。

表示する
薬害

薬害

薬害とは農薬などの処理によって芝、樹木などの作物に生じる生理的障害をいう。

表示する
ほこりかび病

ほこりかび病

梅雨や秋雨の時期に降雨が続き、空気中の湿度が飽和状態になったときに突如として葉に子実体が発生する。

表示する
雪腐病

雪腐病

雪腐病は北海道から日本海側を中心とした積雪地帯において融雪後に現れるパッチの総称である。

表示する
スプリングデッドスポット

スプリングデッドスポット

春、バミューダグラスの萌芽期に20~50cmの芽立ち遅れパッチとして現れる。

表示する
疑似葉腐病(春はげ症)

疑似葉腐病(春はげ症)

感染は主に秋期の気温が10~15℃のとき、即ち芝の冬枯れ(休眠)直前の時期に起こる。

表示する
サマーデクライン

サマーデクライン

夏場の高温・多湿(気中、土中)、一時の乾燥、病原菌・線虫感染などの悪環境ストレスにより芝が黄化し、活力が衰え、葉ヤケや枯...

表示する
サマーパッチ

サマーパッチ

ベントグラス、ブルーグラス、フェスクなどに発生するが外着生根部感染(ETRI)病のひとつである。

表示する
テイクオールパッチ(ベントグラス立枯病)

テイクオールパッチ(ベントグラス立枯病)

テイクオールパッチは造成後4~5年までの若いベントグリーン、あるいはインターシードした若いベントグラスに発生しやすい。

表示する
樹下枯損症

樹下枯損傷

フェアウェイ外側の切り土法面ラフに栽植されている樹木の下の芝(多くはノシバ)や雑草がその樹木を中心として大きな円形状に黄...

表示する
灰白色葉枯症(ホワイトブライト)

灰白色葉枯症(ホワイトブライト)

夏期のベントグラスに灰白色で円形~不定形の1m以下の明瞭なパッチが現れる。

表示する
炭疽病

炭疽病

炭疽病の診断は菌特有の小さな三日月形の胞子と針のような黒い剛毛を観察することで可能であるが、感染初期にはまだ形成されてい...

表示する
ドライスポット

ドライスポット

砂がおよそ90%以上のサンドグリーンのベントグラスに特異的に発生する。

表示する
赤葉腐病(レッドスレッド)

赤葉腐病(レッドスレッド)

北海道や東北、本州の高冷地の寒地型芝(ブルーグラス、ライグラス、フェスク、ベントグラス)に多く発生する。

表示する
ダラースポット病

ダラースポット病

葉上に感染した初期の病斑の縁は赤褐色になる。その後感染が進みスポット状となり、ムギワラ色~灰褐色を示す。

表示する
細菌病

細菌病

症状としては斑点性から全体性まであり、しかも環境条件により様々な色調、症状を示す。一般的には黄色~赤褐色の輪郭の不鮮明な...

表示する
ピシウム病

ピシウム病

ピシウム病は今のところ分類上、赤焼病以外のピシウム菌による病気の総称とされている。

表示する
さび病

さび病

さび病は葉の上に明るい褐色の胞子の塊り(夏胞子堆)が肉眼でも見えるので診断はたやすい。

表示する
ヘルミントスポリウム葉枯病

ヘルミントスポリウム葉枯病

ヘルミントスポリウム属グループの6種類の菌による葉枯性の病害の総称。

表示する
葉腐病(ブラウンパッチ)

葉腐病(ブラウンパッチ)

高温期(24~32℃)になるとベントグリーンに必ずといってよいほど発生し、過湿の低刈りグリーンで多発しやすい。

表示する