テイクオールパッチ(ベントグラス立枯病)

病原体:ゴウマノマイセス菌

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テイクオールパッチは造成後4~5年までの若いベントグリーン、あるいはインターシードした若いベントグラスに発生しやすい。土グリーンよりもサンドグリーンで症状が激しくなる。

テイクオールパッチ(ベントグラス立枯病)

菌の主な生息部位

 

発生芝種・発生時期

テイクオールパッチ(ベントグラス立枯病)

 

発生生態

この病気は造成後4~5年までの若いベントグリーン、あるいはインターシードした若いベントグラスに発生しやすい。土グリーンよりもサンドグリーンで症状が激しくなる。春と秋の年2回発生であるが近年その発生は少なくなった。

一般的には感染初期は黄色、後期は褐色の円形パッチであるが、形状や色調からでは他の病害、特に感染初期ではウインターパッチ、後期ではピシウム病や炭疽病との区別が難しい。

地際部の葉鞘表面を顕微鏡で調べ、褐色の表面菌糸と菌糸の塊り(偽柔組織)を確認したり、冬期には地下部に黒色の子のう殻を発 見することで診断できる。4月初めに菌を人工接種すると1~2週間後に薄い黄化と生育の抑制が始まる。接種2ヶ月後には赤褐色の輪郭が不鮮明なパッチとして出現する。

この病気は外着生根部感染病(ETRI病)のひとつである。

 

予防対策

酸性肥料や酸性資材で発病が抑制される。肥料(りん、カリ)が少ないと発病が助長されるので注意すること。

 

治療対策

ゾイシアデクラインに有効な剤はこの病気にも効果がある。発病後期の散布は地下部まで感染してしまっているので防除、回復が困難となる。発生初期からの散布が大切である。発生後期の対処方法はソッドの張り替えとなる。

 

Envuの推薦防除方法

DMI剤の散布が有効です。

 

参考写真

テイクオールパッチ 14-1

ゴウマノマイセス菌(テイクオールパッチ菌)の淡褐色菌そう 

 

テイクオールパッチ 14-2

ゴウマノマイセス菌の子のう殻とそこから出てきた無数の子のう 

 

テイクオールパッチ 14-3

子のうの拡大写真. 1個の子のうに8個の子のう胞子が入っている 

 

テイクオールパッチ 14-4

出てきた細長い子のう胞子 

 

テイクオールパッチ 14-5

感染ベントグラス葉鞘表面に伸びた外着生の褐色菌糸. 長い楕円形の単純型の菌足(矢印)から細胞に侵入する(5月) 

 

テイクオールパッチ 14-6

外着生表面菌糸とその下のベントグラス組織内に蔓延したゴウマノマイセス菌の菌糸の塊り"偽柔組織" 

 

テイクオールパッチ 14-7

偽柔組織の拡大写真. この菌は明瞭な菌足を造らないのでこの組織と褐色表面菌糸が診断の決め手になる(ベントグリーン 6月) 

 

テイクオールパッチ 14-8

発病後期のテイクオールパッチ. パッチ内では芝の回復が始まっている. パッチ内の白色は目砂の色(ベントグリーン 10月) 

 

テイクオールパッチ 14-9

人工接種によるテイクオールパッチの発病. a:接種42日後の淡い黄色パッチ b:接種52日後には赤褐色に変化したが輪郭は不鮮明である(ベントグリーン 5月)